明日こそ、キミに「好き」を届けます。
「……赤く、なってないし」
腕で顔を覆い、桜庭から顔を逸らす私。
「なってる。照れなくていいって。絵美ちゃん」
「うるさい……っ。照れてない……」
そう否定するも、桜庭はケラケラとお腹を抱えて笑いだす。
「なんか、はじめて会ったときのこと思い出すわ」
「え?」
目尻に付着した涙を拭いながら、桜庭が懐かしそうに呟く。
はじめて会ったとき……ってなんかあったっけ?
「いや、やっぱなんもねぇー」
「なにそれ……」
桜庭の言葉に腑に落ちないでいると、教室の扉がガラッと開き、桜庭の友達、浜中星夜 (はまなか せいや) が上がりこんできた。
「星夜、はよー」
「……陸翔。はよ」
彼は一瞬桜庭に目を向けると、すぐに自分の席へと向かってしまった。