Sugar
「…い、おい。」

「え?」

ふと一ノ瀬くんの声が聞こえて、ぱっと顔を上げると、もう既にパフェとタルトがあった。

「注文したやつ来たけど、食わねーの?」

「あ、食べる。」

だめだ、さっきの考えが頭から離れない。

はぁ……。

あまり気分が上がらないまま、スプーンで一口パフェを掬って食べる。

「……んまっ!!」

美味しい!なにこれ!最高!!!

さっきの落ち込んでいたこともすっかり忘れて、
パクパクと食べていくと、

「……くくっ」

一ノ瀬くんが、
手を口に当てて、目を細めながら笑っていた。
なんとも言えない色気を漂わせながら…。

「碓氷って笑った顔、めちゃくちゃ可愛いな。」

「なっ……!!!」

あ、やべ、と焦る一ノ瀬くんをお構いなしに、
体温が上がっていく私。

か、可愛い!!??
な……なにそれ。
だ、ダメだよ、そんなこと言ったら。
嫌でも期待しちゃうじゃん。

「……碓氷。」

一ノ瀬くんの声が聞こえて、チラッと一ノ瀬くんの方に目だけ動かすと、

「ん」

それだけ言って、タルトが乗っているフォークを
差し出していた。

「え?」

状況が分からず戸惑う私をよそに、

「やる。欲しかったんだろ。」

それだけ言い、ん、と言う一ノ瀬くん。

「あ…う、い、いただきます……。」

パクっとタルトを食べると、

「…んん〜〜!!!!おいひぃ!!」

美味しい!!


しばらくもぐもぐとしていると、ふと気付いた。


あれ、これって、世に言う、あーん!!??

わっ!私、そんなことしちゃったの!!??
しかもめっちゃ普通に!!

うっわぁ………。

そのあとは、パフェがどんな味とか、なにを話したとか全然覚えてない。


ただ分かったのは、私はやっぱり一ノ瀬くんが好きって言うことと、一ノ瀬くんは楓が好きってこと。

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