イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
(……だって、駿ちゃんが先生になるって聞いた時、いいなって憧れたんだもん)


自分も誰かに、遊びや勉強を教えられるようになりたいって思った。

その頃は引っ込み思案も多少は解消されてて、もっともっと人と沢山コミュニケーションが取れる人間になりたいと感じてたからだ。


それで、小学校の教師になら自分でもなれるかもしれない…と思った。
それが、進路を初等教育学部に決めた理由だ。


ただ幼馴染の彼に感化されただけ。
それを教師を目指す理由にしたことは、私自身、自分の意思が無いように思えて恥ずかしくて。


(誰にも言わないでおこうと思ってたのに、あっさり今泉君にはバレちゃったな)


やっぱり流石は『執事』。読みが深い…って言うか、茶化してる場合じゃないか。


「ねぇ、あの…今泉君……」


どうかこの事は内密に…と問い合わせるつもりで彼を見遣った。
だけど、彼は何も言わずに私に寄ってきて。


「え。あの」


どんどん迫ってくるから、何々?と思わず焦って後ずさろうとした。
でも、広いとは思ってもそこは車内。
トン…と背中がドアにぶつかり、それでも今泉君が寄ってこようとするから手を前に差し出した。


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