イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛

中学時代、望月葵は図書委員だった。
彼女は部類の本好きで、主にファンタジー小説のファンだったと思う。

常にその本棚の前で読み耽っていた。
一心不乱に文字を追いかけるその眼差しの動きは速くて、大した集中力だといつも感心させられた。


当時の俺は、図書室へ行くと塾の問題集をこなし、たまに部活の連中達と試験勉強をするくらいのものだったんだけど、ある日、俺は彼女が本気で怒鳴った声を聞いたことがあって___。



あれは、確か中二の頃だったと思う。
バスケ部の連中が屯して図書室の隅でふざけ合い、大声を出して騒いでたんだ。

一年生の図書当番は、それを止めようと思っても出来ないらしく、弱り顔でそいつらのことを窺ってた。俺はそんな所へ入室して、今日はやけに騒がしいな…と本棚の陰を見遣った。
そこへ……



「静かにして下さい!」


大きな声が聞こえて目を向けた。
すると、そこには本を片手にブルブルと体を震わせてる望月葵が居て__。


「大声を出すなら出てって!皆の迷惑です!」


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