イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛

ガツンと一発怒鳴り、急に顔を赤く染めてサッと本棚の陰に隠れた。

彼女は自分でもそれを言うつもりではなかったのか、ヘナヘナ…と床に座り込み、マズい…といった顔つきで縮こまってる。


（おいおい、怒鳴っててソレなのかよ）


度胸あるなぁ〜と感心したのに、そのヘナチョコぶりは何なんだ。


多分、彼女は弾みであんなことを言ったんだろう。
でも、女子に怒鳴られたバスケ部員達はカッコ悪さのあまり、そそくさと図書室を退室しだした。


出入り口で俺と擦れ違う最中、「何だよ、あの女子」と不貞腐れる奴もいたが、「仕様がねえよ」と宥める奴等の方が多くてホッとした。



「先輩、ありがとうございます！」


バスケ部の連中が図書室を出て行った後、一年生の当番達は彼女の所へ駆け寄りお礼を言った。

勇ましかったです、と褒められた葵は頬を真っ赤に染め、「つい物語の主人公になりきってただけだから」と弱り顔で照れくさがってる。


「丁度戦闘シーンを読んでたの。そしたら興奮してたみたいで、つい大きな声を出しちゃったのよね」


あー怖かった…と安堵しながらも笑ってる顔が印象的だった。