イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
それ程までに本の世界にのめり込むことの出来る彼女も面白いと感じて、興味を持った。


それから俺は図書室へ行く度に葵の姿を探すようになった。
彼女はいつも大体同じ本棚の前に居て、喜怒哀楽を表情に出しながら本を読み耽ってた。


そして、ある日、俺は彼女が泣いてる場面を見つけたんだ。
それは四巻セットになったファンタジー小説の最後の巻を、彼女が読んでた時のことだったんだが。


俺はいつものように勉強しながら葵ウォッチングを楽しんでた。
すると、文字を追っていた彼女の目頭が急に赤く染まって潤みだし、きゅっと唇を噛んだから、何があったのかと思いシャーペンを置いた。


目にゴミでも入ったのか…と思って様子を窺ってると、下瞼から涙が溢れだして零れ落ちてくのが見えて＿＿。



（あっ…）


ハッとした彼女は涙を拭い、それでもまた落ちそうになり、慌てて目頭を擦ってる。
俺はそんな彼女の仕草を一部始終見つめ、急に胸が狭まるのを感じた。


それ以来、何だか望月葵を見ると胸が熱くなり、息苦しさを感じだした。

図書室で彼女を見かける度にドキッとして、今日は泣いてないだろうか…と気にするように変わっていった……。


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