イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛

（多分、そんなことを葵は知らないと思うけど）


完全な俺の片思いだったから。
中学生で恋愛なんてと思う気持ちもあり、告白しようとも思わなかったし。

それに、中学を卒業すれば二度と会うことはないだろうと思ってた。

高校はそれぞれ別の所へ行くことが決まってたし、中学卒業後、一度あった同窓会でも話す機会には恵まれなかったから。

それでも俺はずっと、葵が本を好きなままでいて、図書館の司書か幼児教育の現場で働いてそうだなと思った。

彼女はファンタジー以外にも絵本をよく読んでたし、文化祭では図書室を解放し、子供達に絵本の読み聞かせをしてると耳にしたからだ。


（なのに小学校の教諭！？イメージ違いにも程がある！）


しかも、教育現場でストレス抱え込んで慢性胃炎になり、病院へやって来るなんて。それに胃痛を我慢して目の前で倒れ込んだ時は、マジで心臓が止まるかと思ったぞ。


（あいつ見かけに寄らず、俺を驚かせるのが好きだな。中学の時といい、大人になった今といい……）


プハッと吹き出しそうになりながら、最初に診察室で会った時のことを思い出した。