イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
(……ひょっとしてこれ、昨日今泉君が書き足したのかもしれない)


目覚めた時、デスクの前に立ってたもんな…と思い出し、楽しそうに微笑んでアルバムを捲ってた記憶が甦った。


(私のアルバムに落書きして遊んでたの?)


大事な思い出なのに…と心の狭いことを感じ、何よこれ…と再び不満の声を漏らす。


「怒りマークって、どういう意味?」


私の横顔のこめかみに薄っすらと鉛筆で書き添えられてあるマーク。


「この本、そんなに怒るシーンなかった筈なのに」


タイトルを見つめ、寧ろハラハラドキドキして、手に汗握るシーンが多かったと思い返す。
主人公と一緒になって宇宙を旅した気分になれ、ラストはとても清々しい気持ちになれたファンタジー小説。


「横顔が怒ってるように見えるって意味かな」


だったらそれこそ失礼…とブツブツぼやき、そりゃ何処となく唇を尖らせて可愛くもない顔してるけど…といじけ始める。


「なんかムカつく」


消しちゃえ、とペンケースから消しゴムを取り出そうとしたが、後書きとは言え、彼が折角書いてくれたものを消すのは何となく忍びない。


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