イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
「先生!」


子供の声に反応して、反射的にそっちを振り向いた。
声の主は駐車場に停まった白いワゴン車の中から飛び出してきて、私はギクッとしながら、マズい!と辺りを確かめた。


(こんな時に現れないでよ)


今泉君…と祈りながら、足元に寄ってきたのは受け持ちクラスの生徒だ。


「おはようございます!」


キラキラスマイルで挨拶され、焦る気持ちはあるけど「おはよう」と挨拶を返した。


「どうして先生が此処にいるの?僕はね、朝ごはん食べに来たんだよ。ママが安くて美味しいって言って、パパが連れてきてくれたんだ」


そう話す生徒は、この間まで算数の授業を聞かなくて困ってばかりいた子だ。
私はその子に目線を向けながら、そう…と頷き返し、同じ車体から出てくる保護者にも会釈した。


「あら、望月先生」

「おはようございます」


挨拶すると運転席から父親も現れ、そっちにも一礼。


「先生もお食事に来られたんですか?」


ニコニコしながら母親に訊かれ、ええまあ…と曖昧に微笑んで返事を濁す。


「そうそう、先生」


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