イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛

母親は子供の肩を抱くと引き寄せ、この度は有難うございます…とお礼を言い始めた。


「先生のご指導のおかげで、この子が算数の勉強を嫌がらなくなりました。家でもきちんと復習して、分からなかったら主人や私にも訊くようになって。あんなに嫌でヤル気も無かったのが嘘みたいで、本当にありがとうございます」


子供の頭を下げながら、自分も深々と頭を下げてくる。


（ヒェーッ！こんな場所で頭なんて下げないでよー！）


特別何もしてないのに…と冷や汗をかき、お礼なんていいです…と手を振る。頑張ってるのならそれが何より…とやり過ごそうとしたんだが、保護者っていうのは要らない事まで色々と訊いてくる。


「先生、今日はデートですか？」

「えっ」

「いえ、なんだか学校で見る雰囲気とは少し違うから」


スカート履いてらっしゃるの見たことないし、メイクも少し派手めですね…って、ほっといてよ。


「そ、そうですかぁ〜？」


虚取ってしまい、つい声が裏返る。


「ママ、それ当たりだよ」

「え？どういう事？」


ビクッとして目線を下へ向けると、生徒がニコニコしながら説明を始めた。