イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
「はーい!」


呼ばれた二人は声高く返事して、それじゃあ…と言いながら店の方へ向かいだす。


(あのねー、呼ぶ気があるなら先に呼んでよぉー)


彼が現れる前に…と恨みながら手を振ると、今泉君が私に問いかけてきた。


「葵、今のは?」

「受け持ちクラスの生徒と保護者。朝ごはん食べに来たんだって」

「えっ。マジか」


ヤバかったな…と呟く彼に情けなく笑い返し、まあ仕様がないよ…と肩を落とす。


「この間から学校でも先生方に揶揄われてたし、それを子供達も耳にしてたから」

「揶揄う?」

「私の服装が前とは少し変わったでしょ。それで彼氏が出来たんだろう…と他の先生方が面白がって揶揄ってたの」


それをつい彼に話しそうになり、慌てて管理人さんの話をして誤魔化したこともあった。
それに、あの頃はまだ胸を張って彼氏と言えるような関係ではなかったから、違いますよー、と否定が出来てたのに。


「これでもう絶対に拡散される。保護者の連絡網の力って凄いんだもん」


今日に限ってメイクも頑張っちゃったしなぁ…と別の意味でいじけだし、仕様がないけど「行こうか」と彼を見直した。


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