イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
「いや、此処はやめとこう」


別の店へ行った方がいいだろう…と決め直した彼は、私が肩から提げてたトートバッグを受け取った。


「これが今夜の荷物か?案外と少ないな」


何が入ってるんだ?と中を覗こうとするもんだから、やめて〜っ!と慌てて制する。


「別に大した物入ってないから」


単に下着とメイク道具くらいしか入れてない…と要らないことを喋ってしまい、あわわ…と思わず狼狽える。


「ああ、勝負下着?」

「いえ、別にそんな意味では…」


そりゃまあ使い古した物は入れてないけど…と頭の中で言い訳して、私達は駐車場を出ると方向を変え、近くにあったホテルのビュッフェで朝食を摂ることになった。




(これを世間ではきっと『棚ぼた』と言うんだ)


ほくほくと顔を綻ばせ、目の前に置かれたプレートを見つめる。

ポーチドエッグ・オンザ・トースト。
それに厚切りベーコンの組み合わせ。


(サイコー!美味しそう!)


別皿のグレープフルーツサラダも新鮮そうだ…と眺めてると向かい側に座る彼が苦笑した。


「『待て』をされてる犬みたいだ」


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