イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
脂がしみ込む〜っと手を握って震わせると、そういう所…と突っ込まれた。


「顔中で感情露わにするだろ」


中学の頃から其処だけは変わらないな…と笑われる。


「私、そんなに顔に出てる?」

「出てる出てる。自分で気づいてないだけ」


肯定すると今泉君は食事を進め、そういう葵が可愛い…と褒めた。


「子供のまま成長してないって意味?」

「いや、単に俺のツボにハマるだけ」

「ツボって…」

「色々詮索しないで済むから助かるってこと」

「人の顔を見て詮索してるの?」

「そりゃ顔色くらいは窺うよ。俺の仕事の六割方はそれだから。でも、葵は思ってることが直ぐに顔に出るから分かり易い。だから一々顔色を窺わないで済む」


それがいい所みたいな発言をされ、何だが腑に落ちない気もするんだが……。


「ねぇ、そう言えば」


ふと今朝見たアルバムのことが思い出され、あの怒りマークは何だったんだろうと思いついた。


「私ね、今朝起きて言われた通りに卒アルを見直したの。これまで結構何度も見返してたのに、朝見た時に今までなかったものが書いてあるのに気づいたんだ」


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