イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
そう話すと向かい側にいる彼が意味深に微笑む。


「…ひょっとして、あの怒りマーク、やっぱり今泉君が書き足したの?」


顔を見つめて問い直すと、パンを口に入れた彼がそれを飲み込み、「ああ俺が書いた」と正直に認めた。


「なんで?あれ、どういう意味?」


あの本はそんなに怒る気持ちにはならなかったのに…と反論し、どうして落書きしたの?と問いただした。


「私の顔が怒ってるように見えるって意味?」


重ねて問えば、違うよ…と即答され、じゃどうしてなの?とまた質問。


「あの写真見てたら思い出したんだ。葵が図書室で怒鳴ったこと」


あれ勇ましかったなぁーと懐かしそうに笑うもんだから、こっちとしては全く「?」で。


「私、図書室で怒鳴ったこととかあった?」


いつも大抵大人しく本を読んでただけなのに。


「覚えてないのか?あっただろ。中二の頃、うるさい男子達に『迷惑だから出て行って』と言ったじゃないか」

「え」

「その後、直ぐに隠れて縮こまってたけどな」


気負ったのはいいがヘナチョコぶりが可笑しかった…と苦笑する。


「そう言えば…」


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