イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
(あーあ、勿体ない…)
悔やみながらシトロエンに乗り込み、初めてのデートらしいドライブに出発。
「何処か行きたいとこあるか?」
「特にないけど」
「だったら寒いけど海にでも行く?人気のある道の駅へ行くのも面白いぞ」
「いいね。道の駅行ってみたい!」
特産品とか色々あるんだよね?と問えば、あるある…と嬉しそうな返事が戻ってくる。
(いいなぁ…こういうの)
あの『執事』とか『秘書』とか呼ばれてた彼と同じ場所へ行く楽しみがあるってステキ。
中学時代は何も接点なかった私達の共通の話題が増えてくって意味だし、それを一つずつ重ねていければ……。
(先では何が待ってるのか、それを考えると笑いが止まらない)
ああ顔が緩む…とニヤついてると、隣で運転してる彼がクスッと笑った。
(しまった。この人、相変わらず私をウォッチングするのが趣味なんだ)
表情を固くして…と気持ちを引き締め直すが、いろいろ思うと笑いが溢れて止まらず、結局締まりのない顔つきのままで夕方まで過ごした__。