イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
どこまでも頑固な彼に呆れ、相手は溜息を吐きながらも、仕様がないわね…と折れた。


「じゃあ、少し厚めに切って焼きましょうか。そしたら彼女も満足出来るだろうと思うし」


譲歩しつつもこっちの顔色を窺ってくれたらしい。それには彼も拒否をせず、快く「お願い」と答えた。


(あーあ、A5ランク…)


グッバイ…と気落ちしながらも、ディナーはアルコールから始まった。
彼が運転をすると言うので、今日はノンアルコーのワインが出され、それと一緒に生ハムとチーズ、フリルレタスのサラダが前菜で付いてきた。


「このレモンドレッシングをかけるのが最高なんだ」


トロリとしたドレッシングを回し掛けながら教えてくれる彼は、一口パクついて、「美味い!」と絶賛。


「有難う」


カウンター越しに立つ女性はすぐにお礼を返し、嬉しそうな眼差しで彼が食べるところを見つめている。



(なんだろ。この雰囲気)


入店した時から、やけに親しそうだな…とは思ってた。
彼はお客様なのにちゃん付けで呼ばれ、彼も年上の人なのにタメ口で話して妙だなとは思った。


(いくら顔馴染みとは言え、親し過ぎない?)


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