イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
(あのマスターのことと言い、さっきの迷惑発言と言い…)


どうも引っ掛かることが多くて。
自分の心が狭いだけとは思うが、リアルな彼と付き合うには何かと障害があるみたい。


「どうでもいいけど、そろそろ着くぞ」


私の返事が戻らないもんだから、彼は若干怒ってる様な声を発した。

言われて意識をしっかり持ち直して外を眺めてみると、五階建てくらいの低層マンションが見えてきて、その下にある駐車場へとシトロエンは入って行く。

建物自体はデザイナーズマンションっぽい感じで、お洒落だけど少し冷たい雰囲気がしている。


(此処が彼の棲み家か)


確かに家賃は高そうで、私が住んでる部屋よりかは随分広そうな気配が漂ってる。
内装もきっとお洒落に違いなくて、さすがって気分にはなるんだろうな…とは思う。
でも…


(今はあんまり行きたくない……)


無言で外を見つめながらそう感じた。
だけど、エンジンは切られ、ハンドルから手を離した彼が……


「出てもいいか?」


何故、確認するのか。


「別に、…いいよ」


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