イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
声のトーンを落とし、気の乗らない感じで返事をしてしまった所為だろう。
彼はシートベルトを外してもドアを開けず、寧ろ私に接近してきて、ぎゅっと体を抱き締めた。

ドキン…と胸が鳴り、何事?と焦ったが__。


「……ちょっと、緊張してきた」


意外な言葉を口にして、バカだな…と自分に呆れながらも、さらりと髪の毛に触れてくる彼。


「ずっと葵を部屋に呼びたいと思ってたんだけど、いざその場になると気分が昂ってきて、何だかおかしい…」


こんなに体が震えたことはないのに…と言いながら、ちらりと視線を合わせる彼は、確かに少し指先が揺れてる。

躊躇いがちに近づいてこようとする唇に心音は踊る。
本当はここで彼の不安を受け止め、緊張を和らげてあげるのが、彼女としての自分の役目だとは思うんだけど……。



「御免……被る」


ついぼそっと口から飛び出した声に彼が止まった。

えっ…?と飛び出してきた声に自分自身も狼狽え、いえあの…と徐ろに目線を下げた。けれど、体は正直に彼から離れようとして腕を伸ばしていた。

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