イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
「葵の側に居たいんだ」


耳元で囁かれ、ゾクッと背中に痺れが走った。


「……俺と住もう。葵」


返事も聞かずに唇を重ねてくる彼。
激しいキスの応酬に、酸素がどんどん足りなくなってくる。


(…く、苦しい)


それくらいにしてぇー…と遠慮したくても、頭がぼうっとして、何も考えられなくなる。


(もう……何でもいい……)


とにかくこのオオカミに食べられないと話が前にも進まない気がする。
だから、取り敢えずは諦めて、彼に全てを任せようと体中の力を抜いた。



「あ…そうだ」

「えっ…」


声を発すると、彼の体温が離れていく。
ぼうっとしたままイケメンな顔立ちを見遣り、色っぽく上気した頬の色を見つめて、きゅん…と胸が苦しくなったけど__。



「肉」

「は?」

「ロースじゃなくて、ヒレにしたのはどうしてかって訊いただろ」

「き、訊いたけど」


今それ?って言うか、何故思い出す?


(いいところなのにぃ〜!)


ガクッと体の力が抜けそうになる。
だけど、彼は大真面目な顔でこう続けた。


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