イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
「おい、こらっ」


診察室に入ってきてからのことを私が身を反転させたまま思い返していると、ぐいっと肩の上に手を置いたドクターは、そのまま自分の体重をかけて体を仰向けにさせ、「いい加減にしろ」と圧を掛けてくる。


「診察出来ないじゃないか」


業務妨害で訴えるぞ、と言い出しそうな表情で凄まれ、流石にいつまでも逃げられないな…と観念した。


「ごめん。…あの、私が此処へ来たこと、同級生には内緒にしてよね」


のろりのろりと上着の裾を捲り、頼むからね…とお願いする。

けれど、痺れを既に切らしきっている相手には、そんな願い事が聞けるか…という雰囲気があり、無言で露わになった腹部に聴診器を当てると真剣そうに音を聞き分けだし、あちこちへと移動させて音を聞き取ってから息を吐き出すと、次は指先で触診しながら、「痛いところはないですか?」と訊ねた。


「えっ?痛いところ?」


どっちかと言うと擽ったいんだけどな…と思いつつ返事をすれば、相手はそうだと言わんばかりに頷きを返して、此処なんてどうです?と、ぐっと鳩尾を押してくる。


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