イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
(これって、絶対に外国製の車だよね)


流石はドクター、っていうか、お値段幾らくらいするんだ?

思わず主婦みたいなことを思ってしまい、走り出すまでのドキドキ感をなんとか誤魔化そうとして見回す。
しかし、ハンドルのところにあるマークを見てもメーカーが分からず、結局、「どこの車?」と彼に問いかけた。


「シトロエン」

「は?」

「シトロエン。フランスの自動車メーカーの名前。日本ではあんまり乗ってる人はいないよ」


故障が多いと噂されてるから…と話し、思わずギョッとして座席の周囲を見回した。


「心配しなくても整備はちゃんとしてるから大丈夫。それに故障したこともまだ無い」


ハンドルを握りながら、今泉君は自信満々に話す。
そして、この車は走り心地がとてもいいんだと自慢気に付け加えてきて、カーラリーとかにもよく出てるメーカーの車なんだ…と教えてくれた。


「へぇー、そうなんだ」


今泉君の口からラリーの話が出るのも予想外なんだけど、それでも車への愛着ぶりだけは何となく分かった。


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