イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
車を走らせながら、今泉君は暫く自分の愛車について語った。

それは内装に拘った理由とか、ボディーのカラーについて少し迷ったことなんだけど、他にもシトロエンという馴染みのない自動車メーカーの歴史や沿革まで掘り下げて聞かされ、時々意味が分からないところも多くあり、ただ頷くだけのことも多かった。


(…でも、一生懸命話すから可愛いんだよね)


まるで自分の生徒みたい…と思えてしまい、あ、違った、大人だった…と思い直す。


(だけど、男の人って子供の様なところがあるってよく言うけど本当だな)


私にはさっぱりイメージ湧かないけど、今泉君って、案外と車好きな子供だったのかもしれない。

そう思うと、どういう感じの子供だったんだろうと思考が逸れ始め、イメージしてはついニヤついてきて、とうとうそれが彼にもバレてしまい……。



「何?笑って」


信号で止まった際に声をかけられ、「えっ!」と彼を振り返る。


「私、笑ってた?」

「うん、ニヤついてたって言い方が正しいかな」


何想像してたんだ?と問われ、貴方の子供時代を想像してました…とは言えず。


「うん、ちょっとね」


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