イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
「着いたよ」


立体駐車場に車を止めた彼は、お疲れ様…という感じでエンジンを止める。
私はシートベルトを外しながら彼に、此処で何するの?と訊ね、駐車場に入る前に気づいた看板のことを思い出した。


此処は郊外にある屋内アミューズメント施設。
ゲームセンターやカラオケの他にボーリングやダーツ、卓球なんかも出来る場所だ。

しかも、確かローラースケートのリンクもあった筈。
私は来たことが一度もなかったけど、生徒達が保護者と行ったと言って、楽しそうに話してくれたことがある場所だ。


(そんな所で何を?)


今泉君は私の質問を笑顔で受け流して外へ出ると、あれ…と言って指差した。


「ボーリング?」


施設の頭上に聳えるボーリングのピン。
それを眺めて訊き返すと、彼は力強く頷いた。


「そう。ストレス発散するには体を動かすのが一番いいから」

「ええっ、体なら毎日のように動かしてるんだけど」


それこそ胃痛がしようが頭痛がしようが、子供達は容赦もなく遊びに誘ってくるんですけど…と眉をへの字に下げながら言おうとしても、彼の意志は曲がる様子はなく、「行くよ」と言って、さっさと背中を向けられ__。


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