イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
彼の車に乗った時のような度胸がいるな、と覚悟を決めて寄って行く。
レーンへ着くと彼は既に名前も登録したよと言い、準備万端整え、先に投げるから…と言ってきた。


「どうぞ」


お手並み拝見…とばかりにニッコリ笑って促す。

この時の私は、彼の腕前がどれだけかなんて知らずに、ガターになったら面白いのになぁ…なんて、失礼な妄想を抱いてたんだ。


今泉君は不適な笑みを浮かべると背中を向けた。

彼は左手にボールを持つとシュッと背中を伸ばして立ち、真っ直ぐと前を見つめると腕を振り上げ、ゴロンとボールを置くようにして振り下ろすと、丁寧にボールを指から離していった。


(わ……きれい)


フォームが……と目を見張っていたら、投げられたボールは勢いをつけながら前に進んで、見事と言ってもいいくらいに一番ピンの横に当たり、それが倒れると他のピンも惰性のように転がっていき、あれよあれよという間に、ストライクの文字が画面に映し出された。


(わぁ…凄い!)


思わず立ち上がって、凄い凄い、と誉めてしまう。
振り返った今泉君も嬉しそうで、照れくさそうな表情を見たら、キュン…と胸が弾かれた。


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