イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
とにかくガターだけは恥だからやめようと思って深呼吸。
ゆっくり落ち着いて投げればいいんだと決め、レーンの先を見つめた。

そして、そうっと床にボールを下ろし、行けっ!という感じで前に転がすと、スピードはどんどん増していく。


(あ…マズい、曲がるかも)


ヒヤッとしたけど、ボールは曲がらずに真っ直ぐ進み、ちゃんとストライクゾーンに入ったらしい。



「やったぁ!」


ストライクの文字がモニターに映り、それを見た瞬間、スーッと胸の内が広がった。


「やるなぁ」


振り返ると今泉君が立って手を叩いてた。
私は笑いながら彼の側に近付き、パチンとハイタッチして喜ぶ。


「よし、俺も負けないぞ!」


どうやら私は彼の本気に火をつけたらしい。
その後3ゲームが終わるまで、私達は本気で点数争いを重ね、終わった後はお互いに汗をかき、流石に草臥れて座り込んだ。



「あー、面白かった」


額の汗を拭おうとしてハンドタオルをバッグから取り出す。

それを手にして、楽しかったね、と彼の方を振り向けば、うん…と返事をした相手がハンドタオルを取り上げ、私の汗を拭き始めようとしたからビックリした。


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