イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
「あ…ありがとう…」


大分弱りながら買って頂いたスカートを穿いて彼と歩く。

それはローズカラーのセミフレアスカートで、斜め前に入ったスリットのお陰で子供っぽさがなく、アラサーの私でも着れそうだな…と思って見惚れた。


「これにMAー1ジャンパーを羽織れば完璧だけどな」


あんた本当に医者?と訊ねたくなるような言葉を呟き、今泉君がじっと私のことを見つめ返した。


(は…恥ずかしいんだけど)


そんなに注目されると困るなぁ…とわざと視線を逸らすと何故かぎゅっと手を握り、こっちがビクッとすると更に喜んだ顔をして、私は心臓がバクバクと鳴った。


(え…えーと)


こういうのってなんかもう慣れなさ過ぎてダメだ。
だけど、確かさっきまで、彼は喉乾いたって言ってなかった?


「ねえ、あの、今泉君…」


何処かで休まない?と言いたくて声をかける。
でも、振り向いた彼の顔を見ると声が出せず、ぐっと喉を詰まらせると口籠もり、カァッと熱くなる顔の温度とは反比例して下を向く。


(ちょっと〜。そんな嬉しそうな目されたら、何も言えなくなるんだけど)


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