イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
「お待たせ」


そう言って病院の待合室に現れた彼は、何故か上下ジャージ姿。
しかも、それが意外にもスポーツ青年風で似合い過ぎてるもんだから、私は目が点になったまま固まった。


「行くぞ」


踵を返して病院の裏口へ向かう今泉君。


「…ちょっと待って」


私は彼の出で立ちに驚いて忘れた胃痛を思い起こさないようにして後を追う。


「ねぇ今泉君」


スポーツ何かしてた?という疑問を発せずに声を飲む。
彼は私にちらとも視線も向けずにガレージへ着くと、車のロックを外して促してきた。


「乗れよ」


ガレージに置いてあるのは彼のシトロエン。
ジャージ姿のままその色っぽい車体に乗り込む姿を見つめながら、なんとも不釣り合いな気分で助手席のドアを開けた。



「…ねぇ何処へ行くの?」


何度も言いたくないけど、私には明日も仕事があってねぇ……。

分かってる?と言いたげな表情で運転席の彼を見遣るが、私の思惑なんて何も気にしてない感じだ。


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