イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
しかも、それは学期末にあったクラス対抗戦の時だけ。それ以外はバットはおろか、ソフトボールですら触れたこともない。


(ドッチボールなら学校でもやるけど)


だから道具を使う球技なんて縁もないんだよね、と困惑しながらキョロキョロしてると、今泉君は「取り敢えずこのくらいの速度から始めるか」と言い、65キロと表示された部屋のドアを開けた。


「因みにこれ、小学校の低学年レベルらしいから」


このスピードが一番遅いと説明し、ドアの中へと私を招き入れる。


「はい、バットとヘルメット。バットの振り方は分かるよね」

「い、一応」

「それじゃ呉々も大根斬りだけはしないように。ちゃんとボールをよく見て横に振るんだぞ」


お金を入れたらピッチングマシーンからボールが出てくるから、と話すとチャリンチャリンと百円玉を入れ、自分はさっさと部屋を出て行く。


(ちょっとー!だから私には学校があるって…)


そう思ってる間に急にシュンとボールが飛び出してきて、私はギャッ!と叫んで飛び退いてしまった。


「何やってんだよ、打つんだよ」


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