イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
「生徒に『出て行きなさい！』って怒鳴ったの」

「ええ？」

「だって、あんまり言うことも聞かずに話してばっかりいたもんだから」


算数の時間に生徒の一人が授業も聞かずに他の子と話してた。

その子は家庭でも勉強しないと母親がお手上げ状態の子で、この最近、ずっとそんな調子の授業態度だった。


「こっちは何とかヤル気を出して貰おうと思って授業も工夫して頑張ってるのに、ちっとも集中して聞かないんだもん。つい頭にきてしまって」


憤りを隠せずに大根を口の中に押し込む。
これ以上言うと自分が惨めになる様な気分もしてきて、弱音を吐かないように…と大根を飲み込んだ。


「ブフッ！」


何故笑う。


私は半平を摘んだまま彼を見つめ直した。
今泉君は箸を握りしめたまま、唇を隠して苦笑してる。


「あのね」


こっちが憤ってるのにその態度は何。


「悪い。つい思い出したことがあって」


ククク…と笑いだして、はぁーと息を吐き出す今泉君。
私はそんな彼を見てムッとし、まあ彼には私の気持ちなんて分かりっこないか…と思い半平を齧った。



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