イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛

午後六時半、本屋で立ち読みをしてる私の所へ彼はようやくやって来た。


「お待たせ」


声を掛けてくる相手を振り返り、はぁ…と軽い溜息を吐く。


（今日もまた格好いいなぁ…）


Ｖネックのセーターの上に薄茶色のＰコート。黒パンツにスニーカーなんて、似合い過ぎて目眩がしてきそう。


（こうやって見ると、今泉君てホント医者らしくない。モデルとか芸能人とか、そういう類いの仕事してる人に見える）


得だよねぇ…と顔を見つめて思った。
さっきよりも彼は多少機嫌が良くなってる様な気がするが、今度は逆に私が不機嫌で。


「何だ？」

「いえ、別に何も」


単純に食べ物のこととで恨んでるだけですよー、と胸の中で思い、手にしていた本を棚に戻す。
それを見た彼は目線を向け、こんな質問をしてくる。


「相変わらず好きなんだ、ファンタジー」

「え？」

「中学の頃もよく読んでただろ」

「えっ？どうして知ってるの？」


驚いて思わず目を見張る。
その問いかけに彼は答えず、微笑むだけで流されてしまった。


「今泉君」

「行こう。精進料理食べるんだろ」