六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「うん? あ、晃―」
俺を見た途端、笑顔になって手を振って来た。
ほんとこいつ、根がいい奴だと思う。
だから、譲れるって思ったんだ。
「旭ん家、近くなのか?」
「うん。今の父さんの実家なんだけどね。晃も近いの?」
「食材の買い出しの途中。ってかお前、目ぇ悪かったんだ?」
いつもと違うなーと思ったら、旭は眼鏡をかけていた。
「普段はコンタクト。あ、晃、買い出しって急ぎ?」
「いや? そんなことないけど」
「じゃーちょっと話して行かない?」
晃に誘われて、近くの喫茶店に入った。お互いコーヒーを注文する。
「さゆの家もこの近くだよね」
「あー、……旭に言うタイミング逃してたんだけど」
「うん?」
巽や琴も知っているし、そろそろ話してもいいだろう。
「今、俺とさゆ、一緒に住んでる」