六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
マジか……。
旭ならさゆのこと大事にしてくれるって思ったの、まさかこういう理由だったなんて……。
旭、最初は俺に突っかかってきたけど、それは妹を護る兄として、って意味だったのか?
……さゆと旭が、兄妹。さゆはそれを知らないから……例え過去形でも、旭のことを好きで……。
「……なら、いい兄と悪い兄もいるだろ。お前は、相当いい兄の方なんじゃねえの?」
自分の正体を悟られないように、でも大事にしてきたってことだろ?
……言いたかったんじゃないかな。さゆと、たった二人の兄妹だよ、って。
「……晃、すげーいい奴だね? でさ、今度は兄って立場を明かして訊くわけだけど、さゆのこと好きじゃないの? 恋愛感情ないの?」
秘密を明かされて、本性は少し大人しい奴なんかな? って思ってたら、相変わらずグイグイ来る。
「………」
「邪魔しないからさー。教えるだけ教えて?」
ね? とテーブルの上で腕を組んで上体を腕に近づけて、見上げるように見て来た。
……教えるだけで、いいんだな?
「好きだよ。でも、好きだから、一緒にいる未来は考えたくない」