六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「なんで?」
「……言ったろ。俺の父親、すげー酒乱だったって。俺、パッと見も声も、父親似なんだよ……。だから、怖い。好きになって一緒にいる相手を、傷つける自分になりそうで、それが否定出来なくて、怖くて……。だから、さゆのこと、好きだから……傷つけたくないから、一緒にいたくない……」
だから、
「お前が、さゆの兄じゃなかったらよかったのに……」
「え? どういう意味?」
「旭だったら、さゆの彼氏になっても受け入れられたって言うか……絶対、さゆのこと傷つけないで大事にしてくれるって気がするから……」
旭に、今俺がいる場所を明け渡す準備を始めていたんだ。
でも、この話を聞いてしまったら、もう――。
「……大変だね、俺ら」
「……ん」