六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「ごめん、晃……。俺は、兄としてしかさゆを大事に出来ないよ。小学生の頃、勉強の競い相手になって、いつもついてくるさゆが可愛くて、でもやっぱりそれは妹だって知ってたからだと思う。俺がさゆを幸せにしたい、なんて思ったことないんだよ。さゆを幸せにしてくれる奴をとっちめてやろうとは思ってたけど」
「おま……」
「いやー、だから晃にはつっかかっちゃってねえ。さゆ、晃にだけは笑い方が違うからさ。あ、こいつだなって思った」
「……俺じゃねえよ」
「お前だよ。お前がさゆをどう捉えていようが、さゆが好きなのはお前だよ」
「………」
「晃、さゆを幸せにしたいって、思わない?」
「思うよ」
即答できる。
「自分以外がそれをしてもいいんだ?」
「………」
い
「………やだよ」
嫌だよ。
旭は、少し身を乗り出して来た。
「晃さ、絶対に傷つけらんないって思うくらい誰かを好きになること、不可能だと思う?」