六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
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……傘、持ってくりゃよかった。
旭と別れて、買い物で憶えていたものをテキトーに選んで帰ろうとしたら、スーパーの外は土砂降りだった。
……最近の夏だな。
傘、持たずに来ちゃったから雨宿りしていくかな……。
右手に袋(さゆに渡されたエコバッグ)を持って突っ立っていると、どうしてもさっきの話が頭の中をぐるぐる回る。
旭は、さゆの半分血の繋がった兄貴。俺を、さゆの相手として認めていた。
旭が転校してきた理由は全部今まで聞いたことに嘘はなく、母親が結婚した相手の実家に移り住むため、小学生当時住んでいたこの近くに越して来た。
離れても妹のことは気にかけていて、もしさゆがまだこの辺りにいるようだったら、と、巽に連絡してさゆが在籍する高校を知り、そこに巽もいると知って転校を決めた。
一年の七月の休み直前っていう妙な時期の転校になったのは、母親の結婚関係の手続きが少しスムーズにいかなかったかららしい。
今は問題なく過ごしているそうだけど。
……旭も、旭の母親も、俺やさゆや、母さんや小雪さんと近い、大変な思いをたくさんしてきたみたいだ。
……旭なら本気で全部譲れるって思ったのに。
なんでこんな展開になるかなあ……。
「……くん、晃くん!」
間近で叫ばれて、思わず肩が跳ねてしまった。
え?