六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「ごめんな、さゆ勉強してたのに」
「お互い様です。……ね、腕組もうか?」
「え……どうした、急に」
「この前、ああしてたら雷怖くないみたいだったから」
そう言って、傘を持っている方の腕に抱き付いて来た。思わず傘が揺れる。
「さゆ、人前でそういうの嫌なんじゃないの?」
「なんかもう、ばれてもいいかなって」
「……さゆ?」
ほんと、急にどうした……?
「いいから。早く帰ろ」
さゆが、少し俺を引っ張るように歩き出した。
個人的には嬉しいことでしかないから、振り払う理由もない。
「さゆは雷、怖くないの?」
「全然? 落ちて来たら怖いだろうけど、音聞こえるくらいはどうもないよ」
「さすが」
「だから晃くんはいつでも私を頼ってよろしい」
「……頼りにしてます」
ほんと俺、情けないほどさゆに護られてばかりだ。
だからせめて、俺がさゆを護りたかった。
……カッコ悪いとことか、いくら見せても全部その細い腕に抱きしめてくれるさゆだから。