六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
『………』
「………」
呆気に取られる女子全員と、私。
凛ちゃんだけがため息をついていた。
晃くんはよろめきはしなかったけど、殴られた勢いで背けた顔を正面に戻すと、ぎっと相手を睨みつけた。
「――ってえな、お前には言ってねえんだよ! 琴ちっともマジメになる気ねえだろ!」
「うっさい! 元々晃が咲雪ちゃんに手ぇ出してなきゃこんなことにもなってないんだよ! 自業自得だ!」
……晃くんを殴ったのは、琴ちゃんだった……。
「な、内乱……?」
女子の誰かが呟いた言葉に、私は内心同意してしまった。うん。
「俺は琴がさゆの親友名乗るのも許した覚えはねえ! 元ヤン傍におけっか!」
「琴こそ晃が咲雪ちゃんと付き合うの許した覚えないもん! 元ヤンの名前で親友護れるんだったら琴はいくらでも利用してやる!」
「こ、こう? こと……?」
お互い名前呼びに戻ってるー! 普段は二人とも気を付けているからか苗字呼びなんだけど、頭に血が上っちゃっているみたいで名前呼びになってる!
すっと、凛ちゃんがガイドさんみたいに軽く右手を挙げた。