六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
――と、私が発言する隙も与えず話は進んでいった。
私はただ瞬きをするばかりで、話についていけなかった。
私の意識が現実を認識したときには、お母さんと奏子さんは仕事のために会社へ戻ってしまっていた。
『……………はあ⁉ どういうこと⁉』
『さゆ、遅い』
晃くんも、いつの間にかソファの方にいた。
『え、だ、なん⁉』
『落ち着け』
『落ち着けるか! だってそれって、晃くんと一緒に住むってことでしょ⁉』
『だな』
『私、凛ちゃんや琴ちゃんにも言ってないんだよ⁉ 晃くんと仲いいの!』
『俺は巽には言ってるし、さゆも言って構わねえよ?』
『巽はいいんだよ! うちのことも知ってるから!』
晃くんの親友の藤沢巽(ふじさわ たつみ)は、私とは保育園も小学校も同じの幼馴染みたいなものだ。
私の家が母子家庭なのも、その大まかな経緯も知っている。