六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
先ほどとは打って変わって、穏やかな眼差しの晃くんだった。
その微笑みに、私も安心する。
晃くん、大丈夫だ……よかった……。
「三科!」
微妙な感じになってしまった空気を壊したのは、巽の一声だった。
「ふ、藤沢く……」
名前を呼びかけて、琴ちゃんははっとしたように顔を背けた。
そ、そうだよね……私を守るためとはいえ、琴ちゃん、知られたくない過去をさらけだしたんだ――
巽は早足で琴ちゃんのところまでやってきて、前に立った。
「三科。惚れた! 俺と付き合って!」
「……はい?」
泣きそうになっていた琴ちゃんの顔が、一瞬で呆気に取られる。
「え、ふ、藤沢くん? あの、さっきの琴の……聞いてたんじゃ……」
「聞いてた。晃から、まだ出てくるなって言われてたけど。三科が晃を殴ったのも見た」
「―――――」
サーッと血の気が引いて行く琴ちゃんの顔。
こ、これは私からも謝らないと――