六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】


「三科、すげーカッコいい。咲雪の――友達のためにあそこまで啖呵切れるとか並じゃない。すごくカッコいい。すごく可愛い。好きんなった。だから、俺と付き合ってください」


な、殴ったとこも見たんだろう? ……巽、お前の基準はどうなっている……。


琴ちゃんの肩が、ふるふる震え出した。


「ざ、ざゆぎぢゃーん! りんぢゃーん!」


「わっ」


「おっと」


踵を返して突撃してきた琴ちゃんを、凛ちゃんと二人で受け止める。


勢いで、晃くんと繋いでいた手が離れる。晃くんが舌打ちしたのが聞こえた。


「い、今の、夢? 幻? 妄想? と、とにかく現実じゃないよね? ふ、藤沢くんが琴なんか好きになってくれるわけないよね?」


「み、三科さん!」


「本当だよ! 藤沢くんに告られたんだよ!」
 

……テンションがあがっているのは、さっきまで私をシメにきていた女子たちだった。


何と言うか……みんな、恋バナが好きなだけの普通の子たちなのかな……?


「司さん!」


「はいっ!」


先陣切っていた女子に呼ばれて、私は思わず背筋を伸ばした。


すると、次に視界に入って来たのは腰を折って頭を下げた彼女だった。

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