六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「それは……ふ、藤沢くんの前だと緊張しちゃうって言うか………藤沢くんと話すの、ドキドキして、口がうまく動かなくて……藤沢くんのこと、すき、だから……」
「……よかった~」
長く息を吐いて、巽は右手で自分の顔を覆った。
「三科、晃のこと好きだと思ってたから……。三科、俺と付き合ってくれる?」
「わ、私からお願いしたいくらいだよ……! でも、ほんとに琴なんかでいいの? 琴、ヤンキーあがりであんまり素行よくなかったよ?」
「今は違うだろ? 友達のために、だったんだろ?」
「~~~藤沢くん好きです! 大好きですっ!」
琴ちゃんが、泣きながら叫ぶ。
「俺も、三科のこと好きです」
つと、巽が琴ちゃんの腕を引いて、自分の腕の中に閉じ込めた。
「ふ、藤沢くん⁉」
「彼女なんだから、泣くときくらい彼氏の腕の中にしてよ」
……そう言われて、琴ちゃんはびきっと固まったように見えた。
「なんか二件くらい落着した感じだな」
「だねえ。助けてくれてありがとね、凛ちゃん」
「それは身体張った彼氏に言ってやんな。おーい、あんたら。一応けが人いるから、あたしらもう行っていいかー?」
と、女の子たちに向かって声を飛ばす凛ちゃん。
女の子たちは申し訳なさそうな顔でまた口々に「ごめんなさい」と繰り返した。