六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「そうだよ」
「うそ」
「さゆ――」
「そんな、こと、今まで一度も――」
言わなかったじゃない。素振りすら見せなかった。旭が……。
「さゆ!」
「……ごめん、一人にして」
「ただいまー……って、さゆ?」
悪すぎるタイミングで晃くんが帰って来たのがわかったけど、おかえりも言わずに階段を駆け上がった。
自分の部屋に入って大きな音を立ててドアを閉めた。
旭が……わたしのおにいちゃん? 旭はずっとそれ知っていて、黙っていたの?
そんな……。