六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
かすれた声をしぼりだした喉は、傍から見てもひくついている。
さゆの隣に膝をついて、右手でさゆの頬に触れる。
「……泣きな」
「………」
「いつまででも傍にいるから、泣いていいよ」
雷の日、さゆも同じような言葉をくれた。
あの言葉に、どれだけ救われたか……。
途端、さゆは涙を流し出した。
「ごうぐん~」
「うん」
「う~」
さゆは、声を押し殺した泣き方をするんだ。全部、自分の身のうちで解決しようとするように。
……ちゃんと、気持ちを涙に流してほしくて、そっと抱きしめた。
「こ、……」
「これなら泣いてるとこも見えないから、言ったことも聞き流すから……ちゃんと、泣くんだよ」
さゆの手が、俺の服を摑んで来た。
「あ、旭、が………」
「……うん」