六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】


「……兄だって旭から聞かされたとき、言われたんだ。『絶対に傷けられないと思うくらい誰かを好きになること、不可能だと思うか?』って。

……思わなかった。すぐに浮かんできたのは、笑ってるさゆの顔だった。俺がずっと、さゆを笑顔でいさせるって思った。……約束する。絶対に、さゆのことを傷つけない。泣かせない。だから、これからも俺と一緒にいてほしい」


ずっとずっと、先まで――。


『絶対に傷つけられないと思うくらい誰かを好きになること、不可能だと思う?』


旭の問いかけは、俺には打撃だった。


だってそれは、俺がいつもさゆに対して思って、決めていたことだったから。


さゆだけは傷つけない。泣かせない。


そして俺は、さゆが好きだって自覚もあった。


悩み続けていた、俺の中に溜まっていた黒々しいものを解放する答えを、俺はもうとっくに手にしていた。


絶対に傷つけないと誓って、泣かせないと約束するほど、さゆのことが好きだ。


「……さゆ?」


さゆが、正面から抱き付いて来た。

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