六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
side咲雪
「さゆ~! ごめん! 本当にごめん! 急に言われてもびっくりするよな?」
「いや、もういいよ旭」
晃くんと一緒に一階へ降りると、顔面蒼白の旭が駆け寄って来た。
「お母さんが黙ってるように言ったんでしょ? 旭は悪くないって」
「そうだけど――って、なんで手を繋いでいる? 晃?」
「さゆは今日から俺の彼女です。旭も触っちゃダメ」
こ、晃くん! いきなり宣言して、私の肩を抱き寄せて旭から遠ざけた。
「はあ⁉ おま……マジか! とっちめる!」
「何寝ぼけたこと言ってる。さゆを泣かせたお前の方こそとっちめられるべき」
「~~~さゆ! 考えなおせ! 今ならまだ遅くない!」
「無理」
「さゆ~」
「晃くんのこと好きだから、諦めるとか無理。いくら旭がお兄ちゃんだからって聞けない」
ふいっとそっぽを向くと、旭の背後に『ガーンッ』って効果音でもつきそうな顔になった。