六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「当り前。母さんは今まで、十分過ぎるくらい俺の為に生きてくれたよ。だからもうそろそろ、自分の幸せのために生きてよ。俺も、さゆを幸せにするって生き方、見つけたから」
これから俺は、さゆを幸せにするために生きていけるんだ。
さゆだから、俺は大丈夫だから。
『晃……』
「でもそういう話があるときはもっと早めに連絡して。さゆに知らせるタイミングも遅すぎじゃないですか?」
『う……ごめんね、晃くん』
「俺はいいですけど。さゆの動揺はあると思ってくださいね?」
『わかってる。母親として覚悟してる』
「なら――
「晃くーん。お風呂いただきましたー。あ、ごめん、電話?」
タイミングいいんだか悪いんだか、さゆが戻って来た。
「さゆ来たんでスピーカーにしていいですか?」
『う、うん』
答える小雪さんの声は緊張しているようだった。
「さゆ。小雪さんと母さん」