六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】


「そういうわけよ。あんたが作ったの光司くんに渡すから寄越しなさい」


「どういうわけだよ。自分で用意してんだろ? 買ってもあるし作ってもある」


「だからなんであんたはそう易々とヒトの行動読んでくるのよ!」


「鞄から見えてるから」


「~~~」


晃くん……たまに私も、晃くんって千里眼持っているんじゃないかなって思うことあるからな……。


「大体、俺が作ったの渡してどうすんだよ。父さんに喜んでもらいたい、んだろ? 母さんのじゃなきゃ意味ねーだろ」


「………」


奏子さん、そっと顔を伏せた。


うん、そうだよね。好きな人からもらうから、特別嬉しいんだと私も思う。


「奏子さん、奏子さんの手作りとかもらえたら、光司お父さん嬉しいと思います」


「……ほんと?」


「はい」


「……晃のより美味しくないのに?」


「好きな人からもらうから嬉しいんだと思います。光司お父さん、晃くんのことも勿論好きですけど、一番は奏子さんでしょう?」


一番、好きなのは。

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