六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「え、ない、ですけど……」
「さゆを傷つけることはしない主義だから」
「……ほんと仲いーわね。私と光司くん結構喧嘩するわよ?」
「いつも父さんが負けて折れてんよな」
言われてみれば、晃くんと喧嘩したことないな……。
でも奏子さんと光司お父さんは喧嘩とかするんだ。
お母さんとお父さんは、お父さんがすぐに泣きだしてお母さんが怒る事はあるけど、喧嘩らしい喧嘩ってのはないかも……。
「うらやまし」
ぽつりとつぶやいた奏子さん。
………。
「母さんが気の強さを少し収めたら頻度は減ると思うけど」
晃くんは相変らず冷静だった。
「私の気の強さは九十歳にならないと角(かど)が取れないのよ」
………奏子さん。自分、平坦な瞳になった自覚があった。
光司お父さんが帰ってくるまで待っていると遅くなりすぎるから、と、夕暮れの道を晃くんと歩いた。
「晃くんのチョコ美味しかったなー」