六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】


「え、ない、ですけど……」


「さゆを傷つけることはしない主義だから」


「……ほんと仲いーわね。私と光司くん結構喧嘩するわよ?」


「いつも父さんが負けて折れてんよな」


言われてみれば、晃くんと喧嘩したことないな……。


でも奏子さんと光司お父さんは喧嘩とかするんだ。


お母さんとお父さんは、お父さんがすぐに泣きだしてお母さんが怒る事はあるけど、喧嘩らしい喧嘩ってのはないかも……。


「うらやまし」


ぽつりとつぶやいた奏子さん。


………。


「母さんが気の強さを少し収めたら頻度は減ると思うけど」


晃くんは相変らず冷静だった。


「私の気の強さは九十歳にならないと角(かど)が取れないのよ」


………奏子さん。自分、平坦な瞳になった自覚があった。


光司お父さんが帰ってくるまで待っていると遅くなりすぎるから、と、夕暮れの道を晃くんと歩いた。


「晃くんのチョコ美味しかったなー」

< 209 / 266 >

この作品をシェア

pagetop