六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
同じ中学出身だという男子といつも一緒で、だるそうな感じは変わらなかったけど、かすかに見える笑顔。
一方の琴は、友達が一人も出来なかった……。
え、友達ってどうやったら出来るんだっけ? 中学時代、殴り合って立ち向かって来た奴としかつるんでいなかったから、琴、友達の作り方を知らなかった……。
なんか、ここもつまらないかも……。晃が楽しそうにしているのが恨めしかった。
晃には入学初日に琴だって気づかれていて、更に晃は琴の黒歴史を知っていたから、全力で口止めしておいた。
絶対に高校で琴に関わらないでって。
そんな感じで、せっかくの高校も楽しめていなかった四月の琴は、女子には毎月あるヤツが重くて保健室のベッドにいた。
あー、保健室登校になっちゃたらどうしっよかなー。
なんて呑気に考えていたら、「失礼しまーす」とドアが開いた。
あ、今先生いないって言わなくちゃ……。
そう思って重たい身体を起こしてベッドを仕切るカーテンを開けた。
「あのー、今先生教員室に行ってますけど……」
「え? あ、ごめん、起こしちゃった?」
そう言って振り向いたのは、なんと晃の親友の男子だった。うわ、最悪……。
「三科さん? 体調悪いの?」