六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】


ベッドの傍までやってきた司さんが問いかけて来た。


もう時間も遅いし、うん、帰ろうかな……。


「だいじょうぶ……」


「痛み止めは飲んだ?」


「え……と」


「アレ、かな? お腹痛くなる方?」


伏字で問われても、女子同士ならすぐにわかる隠し方だ。


なんか恥ずかしくなって、うつむいてから肯いた。


「く、薬効いて来たから……歩ける」


「そっか。ゆっくり帰ろ」


そう言って、司さんは持っていた琴の鞄を差し出してきた。


なんで司さんが琴を迎えに来たんだろ……。


一応、教員室に寄って養護の先生にお礼を言ってから帰る。


学年イチの美少女と元ヤンの琴という謎の組あわせで。


「雪村?」


げ。晃……。一階の廊下で、鞄を肩にかけて気だるげにこっちを見て来る晃と鉢合わせてしまった。

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